日本在住のイタリア人作家ラウラ・今井・メッシーナ氏は、昨年ピエンメ社より小説 Quel che affidiamo al vento(私たちが風に託すもの)を刊行しました。この小説は、岩手県の三陸海岸を見下ろす鯨山の私設電話ボックス内に設置された、電話線の繋がっていない「風の電話」を通じ、来訪者が亡き人に想いを伝えたり、一緒に置いてあるノートに想いを綴る、実在の話を元に描かれています。当初、個人的な理由から設置された「風の電話」は、2011年3月11日の東日本大震災によって、家族や大切な人を突然失った多くの人たちの拠り所となり、震災後を生きる被災者の癒しと救済のシンボルとして、これまでに3万人以上の人が訪れています。同書はイタリアで刊行されるや否や大きな反響を得、様々な国で翻訳され、日本でも早川書房から翻訳出版される予定です(タイトル未定)。
東日本大震災から10年が経ち、日本人作家だけでなく、世界中の作家が震災後をテーマに文学作品を生み出しています。今回山崎彩氏をモデレーターとして迎え、Quel che affidiamo al ventoが生まれたきっかけや近年刊行されたその他の作品について、また日本文化や日本文学をイタリアに精力的に伝え続けるその原動力について話します。(日伊逐次通訳付)
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ラウラ・今井・メッシーナ
ローマ生まれ。23歳の時に東京に移住。日本で修士および博士課程の学位(文学)を取得。現在は都内の複数の大学で教鞭を執る。作家としても活動し、小説やエッセイ、児童向けのお話集などを執筆。昨年ピエンメ社より、小説 Quel che affidiamo al vento(私たちが風に託すもの)を刊行。現在20ヵ国以上で翻訳出版が決まっており、イタリアの映画製作会社 Cattleyaが権利を獲得した。エイナウディ社からは Tōkyō tutto l’anno. Viaggio sentimentale nella grande metropoli (東京 春夏秋冬ーメガロポリス感傷旅行)を2020年に刊行し、今年6月には同じくエイナウディ社から小説Le vite nascoste dei colori (日々の暮らしに隠れる色たち)を刊行予定。トリノにある作家養成学校ホールデンスクールで創作講座を受け持つ。鎌倉と東京を拠点に、日本人の夫と二人の子どもと暮らす。
山﨑 彩(やまさき あや)
東京生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門はイタリア近現代文学。これまでの研究対象は国境の町トリエステで書かれたイタリア語の小説や詩。共訳書にU・エーコ『ウンベルト・エーコのテレビ論集成』(河出書房新社)、M・ムッツァレッリ『イタリア・モード小史』(知泉書館)、F・マライーニ『随筆日本――イタリア人の見た昭和の日本』(松籟社)など。