このサイトでは、技術、分析、およびサードパーティの Cookie を使用しています。
閲覧を続けることで、Cookie の使用に同意したことになります。

環境設定 cookies

ヨーロッパ文芸フェスティバル2021―これからの生き方、世界のあり方

駐日欧州連合(EU)代表部、在日EU加盟国大使館、EUNIC-Japan(在日EU加盟国文化機関)の主催で開催されるヨーロッパ文芸フェスティバルは今年で5回目を迎えました。
ヨーロッパ文学を日本の皆さまに紹介することを目的に開催されている本フェスティバルでは、ヨーロッパ各国の作家が日本語翻訳家、研究者と共に朗読やプレゼンテーション、対談、ディスカッションなどを行う多数のプログラムが予定されており、昨年に続き主にオンライン配信で開催されます。

ヨーロッパ文芸フェスティバルの公式サイトはこちらをクリックしてください。

イタリアからは作家で哲学者のエマヌエーレ・コッチャ氏が参加し、11月19日(金)18:00から今年出版した著書Filosofia della casa (家をめぐる哲学, Giulio Einaudi Editore, 2021)について語ります(言語:英語/ 同時通訳:日本語)。

詳細:https://eulitfest.jp/2021/7219/

オンライン配信の中で紹介したコッチャ氏の略歴はこちらからお読みになれます。

 


Filosofia della casa 家をめぐる哲学
大きな家もあれば小さな家もある。豪奢なものも極めてシンプルなものも。壁や屋根があるものも、布で作られたものも。遥か昔から人間とともにある家という建築物にはいつの時代にも変わらない目的がある。それは幸福である。私たちはより良く生きるために家を作る。家の本質とはこの「より良く」という言葉に集約される。家の土台となるのは倫理的なものであり、ただ単に美しさや建築上の観点で語られるものでもない。壁を作り、さまざまなものを集め揃え、日々より良いものを得るためにパートナーや子ども、動物や植物とともにそこで過ごす。しかし、幸福が家の同義語だとすれば、倫理という考え自体が変わってくる。家は単なる空間あるいはれんがを積み重ねたものではなく、多様な物と人の集合体である。それは世界のキッチンである[料理の材料がキッチンのなかで別の形になるように、家のなかでは世界が姿を変えるのである]。幸福とは愛情でも意志の表出でもなく、この世界を表すひとつの構造であり形をもって存在するものである。倫理とはもはや善意の規準ではなく、宇宙で物質が変化していく理論と実践なのである。


エマヌエーレ・コッチャ Emanuele Coccia
パリの社会科学高等研究院(EHESS)准教授。専門は哲学。フライブルク大学准教授を経て現職。これまで東京大学、ブエノスアイレス大学、デュッセルドルフ大学、ニューヨークのコロンビア大学、ワイマール・バウハウス大学、ミュンヘン大学で客員教授を務める。
主な著作にLa vita sensibile (2010)、Il bene nelle cose (2013)、『植物の生の哲学』(La vita delle piante, 2016)、Metamorphoses (2020)、Filosofia della casa (2021)、ジョルジョ・アガンベンとの共編による、三つの一神教における天使に関する選集Angeli. Ebraismo, Cristianesimo, Islam (2009)など。著作は多数の言語に翻訳されている。
2019年にはパリのカルティエ現代美術財団にて開催された展覧会Nous les Arbresに協力した。

  • 主催: 駐日欧州連合(EU)代表部、在日EU加盟国大使館、EUNIC-Japan(在日EU加盟国文化機関)
  • 協力: 一般社団法人リット・ストック