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ジャンニ・ロダーリ生誕100周年

日程:

03/04/2020


ジャンニ・ロダーリ生誕100周年

2020年は、児童文学作家ジャンニ・ロダーリ(1920-1980)の生誕100周年にあたります。

この特別な年を記念し、イタリアでは各種出版、展覧会等、数多くのイベントが行われます。彼の作品一覧や各イベントの詳細については、特設サイトでご確認いただけます(100giannirodari.com サイトはイタリア語)。

生誕100周年と聞いて、思わず耳を疑った方もいらっしゃるかもしれません。というのも、ロダーリはここ何十年にもわたって常に話題の中心にあり、彼の著作の非凡かつ素朴なたたずまいには、いまもって私たちをはっとさせる新鮮さがあるからです。

ジャンニ・ロダーリは、1920年にピエモンテ州のオメーニャ(Omegna)に生まれました。17歳で教員資格を取得し、教員として何年か働いたのち、第二次世界大戦終戦を機にジャーナリズムの世界に飛び込みました。そこでロダーリは、アントニオ・グラムシが創設した『ウニタ(L’Unità)』をはじめ、『ピオニエーレ(Pioniere)』『パエーゼ・セーラ(Paese Sera)』など、いくつもの新聞に関わるようになりました。1950年代から発表しはじめた子ども向けの作品はたちまち人気を博し、1970年には国際アンデルセン賞を受賞。児童文学界において不動の地位を獲得しました。

また60年代から70年代にかけて、ロダーリは各地の学校にて教師や司書、児童やその親との交流を重ねており、その成果は『ファンタジーの文法(Grammatica della fantasia)』として出版され、子どもの文学教育に携わる人々の指南書として今なお高い評価を得ています。

新型コロナウイルスの感染拡大防止措置に伴う休校、テレワーク、外出自粛によりこれまでより一層自宅で過ごすことが多くなった方に向け、イタリア文化会館は、オンラインで楽しめるジャンニ・ロダーリに関するコンテンツや、これまで日本語に翻訳され出版されたロダーリの作品リストをご紹介します。

 

・ロダーリに捧げる挿絵 イタリアの卓越性(5月5日更新)
ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアでは、ロダーリ生誕100周年を記念し、21人のイタリア人アーティストが、今も多くの人に愛され続けるロダーリの作品をイラストにした特別展をオンラインで開催中です。ロダーリへの敬愛の念に溢れる作品の数々をぜひご覧ください。
PDF ダウンロード

 

・ドキュメンタリー
Un ritratto dello scrittore di Omegna - Gianni Rodari, il profeta della fantasia

オメーニャ生まれの作家の素顔ージャンニ・ロダーリ、ファンタジーの預言者
Rai Play, 57 min, 2018

https://www.raiplay.it/programmi/giannirodariilprofetadellafantasia

ジャンニ・ロダーリは、著名なジャーナリストであり児童文学作家です。彼の書いた童謡や童話は、国境を越えて世界中の子どもたちの想像力をかき立ててきました。しかしロダーリのこの成功は、彼の理論的思考に見て取れるように、偶然の産物ではありません。この作家は洗練された知識人であり、イタリア共産党員であったと同時に、盲目的なイデオロギーとは無縁の、現実を見つめる鋭い観察者であり、愉快な言語実験者でもありました。

 

・朗読
Kilowatt Festivalが『二度生きたランベルト』の朗読動画を公開しています。

https://www.youtube.com/watch?v=J38Bl910OoQ

Kilowattは、新進気鋭の現代演劇の劇団が参加する、アレッツォのサンセポルクロで行われるフェスティバルです。

 

・日本語訳作品

Le avventure di Cipollino, 1951

『チポリーノの冒険』杉浦明平訳、岩波少年文庫、1956年・1987年

『チポリーノの冒険』関口英子訳、岩波少年文庫、2010年

Il viaggio della Freccia Azzurra, 1954

『青矢号のぼうけん』杉浦明平訳、岩波書店、1965年

『青矢号―おもちゃの夜行列車』関口英子訳、岩波少年文庫、2010年

Gelsomino nel paese dei bugiardi, 1958

『うそつき国のジェルソミーノ』安藤美紀夫訳、筑摩書房、1985年

Il trionfo dello zero, 1960

『ゼロくんのかち』関口英子訳、岩波少年文庫、2013年

Gip nel televisore. Favola in orbita, 1962

『ジップくん宇宙へとびだす』安藤美紀夫訳、偕成社、1967年・1986年

Favole al telefono, 1962

『電話で送ったお話』鹿島卯女編、鹿島研究所出版会、1967年

『もしもし…はなしちゅう』安藤美紀夫訳、大日本図書(世界のどうわ)、1983年

『パパの電話を待ちながら』内田洋子訳、講談社、2009年・2014年

Il pianeta degli alberi di Natale, 1962

『パジャマをきた宇宙人』安藤美紀夫訳、講談社(こどもの世界文学 26)、1972年

La torta in cielo, 1966

『空にうかんだ大きなケーキ』安藤美紀夫訳、講談社、1971年

『空にうかんだ大きなケーキ』よしとみあや訳、汐文社、2006年

Venti storie più una, 1969

「ロダーリのゆかいなお話」安藤美紀夫訳、大日本図書

『“重すぎる”さんと“軽すぎる”さん』1986年

『鏡からとびだした歯医者さん』1986年

『海をさんぽした超高層ビル』1987年

『だれもがはいれる家』1987年

『わらいじょうごのお姫さま』1988年

『兵士のハーモニカ』関口英子訳、岩波少年文庫、2012年

Tante storie per giocare, 1971

『物語あそび - 開かれた物語』窪田富男訳、筑摩書房、1981年

『羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳』関口英子訳、光文社、2011年

Grammatica della fantasia. Introduzione all'arte inventare storie, 1973

『ファンタジーの文法』窪田富男訳、筑摩書房、1978年・1990年

Novelle fatte a macchina, 1973

『猫とともに去りぬ』関口英子訳、2006年、光文社

C'era due volte il barone Lamberto ovvero I misteri dell'isola di San Giulio, 1978

『二度生きたランベルト』白崎容子訳、平凡社、2001年

『ランベルト男爵は二度生きる サン・ジュリオ島の奇想天外な物語』原田和夫訳、一藝社2012年

Scuola di fantasia, 1992

『幼児のためのお話のつくり方』窪田富男訳、作品社、2003年

Storie di Marco e Mirko, 1994

『マルコとミルコの悪魔なんかこわくない!』関口英子訳、くもん出版、2006年

La guerra delle campane, 1996

『キンコンカンせんそう』アーサー・ビナード訳、講談社の翻訳絵本、2010年

 

・イタリア文化会館おすすめ図書

イタリア文化会館図書室のスタッフが、ジャンニ・ロダーリの短篇集『パパの電話を待ちながら』を紹介しています。

https://www.iictokyo.com/blog/?p=12511

 

また、最後に当館の活動に深い共感を寄せてくださった『猫とともに去りぬ』(光文社古典新訳文庫、原題 Novelle fatte a macchina)の翻訳者関口英子さんから、心温まるメッセージをいただきましたので、合わせてご紹介します。

『いろいろな不安を抱えながら、家で過ごさなければならない日々が続いています。心が曇り、気分転換が必要かもと思ったら、ぜひロダーリの本をひらいてみてください。ロダーリは、すべての人間にファンタジーという素晴らしい能力が備わっていて、それによって、家にいながらにして世界を無限に広げることができるのだと教えてくれます。

楽しみ方はいろいろ。リモートワークの小休止に『パパの電話を待ちながら』(講談社)の、詩のように美しく愉快な掌編群をひとつ読めば、仕事の能率も発想力もアップすること間違いなしです。学校に行かれないお子さんがおうちにいらっしゃるのなら、一緒に現代版の御伽噺ともいえる『兵士のハーモニカ』(岩波少年文庫)を読んでみるのもいいかもしれません。為政者たちの体たらくに鬱憤がたまったら、『チポリーノの冒険』(岩波少年文庫)がおすすめです。きっとスカッとするでしょう。また、『羊飼いの指輪-ファンタジーの練習帳』(光文社古典新訳文庫)で、ロダーリの用意してくれた3つの物語の結末をあれこれ吟味してみれば、こりかたまった頭がほぐれてきます。それでも物足りないという方は、『ファンタジーの文法』(ちくま文庫)で、ロダーリが惜しみなく披露してくれる種明かしを学び、物語づくりの実践をしてみてください。牛と虹、ピアノとカウボーイ、そんななんの脈略のない2つの言葉を組み合わせるだけで、あるいは、「もし、おじいさんが猫になったら…」という突拍子もない仮定をふくらませていくだけで、次々と物語が生まれてきます。

翻訳されたロダーリの物語を読みながら、これってイタリア語でなんていうんだろうという疑問を持たれた方は、原書に挑戦してみるのもいいかもしれません。ロダーリの書くイタリア語はとてもシンプルなので、購読の教材としても最適です。ただし、ロダーリ流のユーモアが満載ですので、辞書と理屈だけで解釈しようとしたら、頭のなかがクエスチョンマークだらけになる危険もありますので、ご注意を。

これは、そんなロダーリのしなやかな発想の結晶ともいえる16の短篇を収めた拙訳書『猫とともに去りぬ』(光文社古典新訳文庫、原題 Novelle fatte a macchina)に添えた解説文です。ロダーリの生誕100周年を祝い、一人でも多くの方に、その業績を知っていただき、魅力を再発見していただけたら幸いです。』

2020年4月15日
関口英子

 

『猫とともに去りぬ』(関口英子訳、光文社古典新訳文庫、2006)の解説文はこちらからお読みになれます。

インフォメーション

開催日: 開始日 2020 年 4月 03 日 終了日 2020 年 5月 24 日

入場 : 無料


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