ミケーラ・カッタイは、ヴェネチアングラスの伝統的な技法に依拠しつつ、新しい作品を現代に送り出しているアーティストです。
本展覧会では、4つのシリーズから計30点の作品を展示します。シリーズ「Canneto」では、色を使ってガラス素材を浮き立たせ、ヴェネツィアのラグーンの塩辛い海水と葦原の色を想起させます。抽象的な「Triformi」は、サファイア、ブロンズ、クリスタルの洗練された色使いが見られる作品群です。シリーズ「Bulbi」は、自然への敬意をこめ、持続可能性を考えさせ、また、「Linfa」は、実験的な作品群で、他のアーティストが廃棄したブロンズとガラス素材から成っており、現代的メッセージを含んでいます。
また、展覧会では、ムラーノのガラス工房であるVeniniとのコラボレーションで制作された一連の作品を紹介する特別スペースが設けられます。これらの作品は、カッタイが日本の茶の湯に魅せられ、そこから着想を得て制作されたものです。
ミケ-ラ・カッタイ
Michela Cattai
ヴェネツィアの美術学院で、ヴェネツィア・ビエンナーレの参加アーティストでもあるファブリツィオ・プレッシのもとで絵画を学んだ後、イタリアデザインにおけるガラスアートへの関心を深める。1992年に、アートとデザインとの対話を考えることを目的としたギャラリーを開設した後も、ヴェネツィア・ムラーノ島のブラウンガラスの研究を通じて、伝統的なルネサンスの技術と、20世紀のガラスの歴史、ガラスの色や形について学び、新機軸となるモデルと独特の影を作り出す抽象的な作品スタイルを生み出す。
最新の試みとして、リサイクルされた素材をガラスと組み合わせる作品(シリーズ「Linfaリンファ」)の発表によって、グローバルで現代的な課題についてメッセージを送り、注目を集めている。
カッタイの作品は、Nomad St. Moritz(サンモリッツ)、Fog Design+Art(サンフランシスコ)、The Venice Glass Week(ヴェネツィア)、Expo Chicago(シカゴ)、Design Miami/Basel(バーゼル)といった多くの国際アートフェアで発表され、なかでも2017年のイタリア議会下院の「最後の晩餐の間」を会場にした個展は大きな反響を呼んだ。また、ムラーノ・ガラス美術館、スクオーラ・グランデ・ディ・サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ協会、ドイツ・デジタル・ライブラリー、クンストパラスト美術館(デュッセルドルフ)などに収蔵されている。