2026年1月12日(月・祝) 15:00-17:00
「読書クラブ」はそれぞれ参加者が自由に感想を述べあい、一緒にイタリア文学の魅力を再発見するアットホームな会です。
今回一緒に読む本は、ドメニコ・スタルノーネ『靴ひも』(関口英子訳、新潮社、2019年)です。
「もしも忘れているのなら、思い出させてあげましょう。私はあなたの妻です。」
家を出て行った夫に宛ててヴァンダが書く手紙でこの物語は始まります。どうすることもできない怒りの嵐と、答えのない疑問の中に置き去りにされてしまったヴァンダ。二人は60年代初め、若くして結婚しました。それは自立への願望からでしたが、その後、彼らを取り巻く世界は変わり、30歳で家族を抱えていることは、自立というよりむしろ時代遅れの証のようになってしまいました。
その結果、彼はローマに移り、キラキラした毎日を送る一人の女性に恋をします。一方、子どもたちとナポリに残されたヴァンダは、沈黙の広がりと募る疎外感を日ごとに感じながら過ごしています。
閉じ込められていると感じないために、私たちは何を犠牲にする覚悟があるのでしょうか? そして、自分の選んだ道を引き返すとき、私たちは何を失うのでしょう?
なぜなら、見捨てるという行為ほど過激なものはなく、しかし、人と人とを結びつける見えない絆ほどしぶといものもありません。時には、ほんのささやかな仕草ひとつで、脇に追いやろうとしていたものが再び浮かび上がってくることがあるのです。
ドメニコ・スタルノーネは、激しく胸を揺さぶる物語──逃げること、そして元の場所に帰ること、取り返しのつかない失敗、人生を左右する失敗のすべてを、卓越した筆致で描きます。
作品情報
https://www.shinchosha.co.jp/book/590161/
日本語のみ(通訳なし)、どなたでもご参加いただけます。
参加希望の方は氏名、メールアドレスをご記入の上、下記宛先までお申し込みください。
Email: biblioteca.iictokyo@esteri.it (件名:「第17回読書クラブ参加希望」)
お申込みは12月15日(月)午前10時よりメールにて受け付けます。それ以前のお申込みは無効となりますのでご注意ください。定員(8名)に達し次第受付を締め切ります。一緒に素敵な読書体験をしましょう!