ジェトゥーリオ・アルヴィアーニは、アルテ・プログランマータとキネティック・アートの分野で活躍した、20世紀イタリアを代表する芸術家です。本展覧会では、有名な「振動するテクスチャーの表面」や「鏡像による相互関係」に加え、1970/80年代に行われた幾何学・色彩に関する実験的試みに至るまで約50作品を展示し、彼の芸術的探求の軌跡を辿ります。
厳格かつ理論家で、常に新しい手法や実験を求めたアルヴィアーニは、視覚による認識の境界を押し広げることで、鑑賞者自身を作品の一部に変える手法を得意としていました。分野に囚われない彼のアプローチによって、芸術と科学、建築とデザインが深く対話するのです。
1964年の第4回東京国際版画ビエンナーレや1966年の第3回長岡現代美術館賞をはじめ、アルヴィアーニの作品は日本で幾度も展示されており、イタリアと日本の文化交流を促進するとともに、具体芸術やアルテ・プログランマータの国際的な普及にも貢献してきました。
この展覧会を通じて、日本の皆様に20世紀抽象・視覚芸術をめぐる探求の第一人者の歩みを発見していただけることでしょう。
ジェトゥーリオ・アルヴィアーニ展「反射する光」
会期:10月3日(金)~11月4日(火) 10時30分~17時30分
(休室日:日曜日)
会場:イタリア文化会館エキジビションホール
入場無料
お問い合わせ:eventi.iictokyo@esteri.it
<開会式>
日時:10月2日(木)18時30分
会場:イタリア文化会館ホール
プレゼンテーション:
・ディオラ・フラリィカ・アルヴィアーニ氏 (監修者)
・池野絢子氏(青山学院大学准教授、イタリア近現代芸術)
開会式の予約はこちら。
主催:ジェトゥーリオ・アルヴィアーニ研究所、イタリア文化会館
協力:イタリア大使館
監修:ディオラ・フラリィカ・アルヴィアーニ
コーディネーター:ヴァレンティーナ・マンフレーディ
ジェトゥーリオ・アルヴィアーニ Getulio Alviani (1939-2018)
イタリアにおけるキネティック・アート、アルテ・プログランマータを代表する芸術家。ウーディネに生まれ、早くから視覚芸術の分野で創作活動を開始。金属の反射する表面に着目し、その成果として光と動きによって姿を変える「振動するテクスチャーの表面」を生み出す。国際的な芸術運動Nove tendencije(新しい傾向)の中心人物としても知られ、1960年代以降、ニューヨーク近代美術館、ヴェネツィア・ビエンナーレ、パリのグラン・パレなど、世界的名声を誇る美術館で作品が展示されている。
オプティカル・アートやグラフィック・デザインの分野で活躍し、教育活動にも精力的に携わるほか、環境・建築と調和する芸術を推進。1980年代にはベネズエラのシウダード・ボリバルにある近代美術館の館長を務め、構成主義芸術の普及に尽力した。
晩年は建築プロジェクトのほか、具体芸術・視覚芸術における重要な芸術家を主題とする批評・監修活動に専念。2018年、ミラノで逝去。彼が残した研究と創意の数々は、現代芸術の重要な着想源の一つであり続けている。
ディオラ・フラリィカ・アルヴィアーニ Diora Fraglica Alviani
視覚芸術をはじめ、舞台美術、彫刻、編集など多岐にわたって活動し、現在はアルヴィアーニ研究所所長を務める。ブレラ美術学院を卒業し、文化財プロモーションの分野で学位を取得後、認知心理学を専攻。1990年代よりファッションや芸術の世界に携わり、数々の舞台美術、編集プロジェクトに参加。
2003年よりジェトゥーリオ・アルヴィアーニとの協働を始め、さらにヤコブ・アガムやエンリコ・カステッラーニ、ミケランジェロ・ピストレット、Nove tendencije(新しい傾向)の創始者たちとの対話を通じて、具体芸術やキネティック・アートの分野に携わる。イタリア国内外で展覧会やインスタレーション、芸術出版、そして視覚的な探究活動を監修・推進している。
近年はアルヴィアーニに関して、ヴェネツィア、ニューヨーク、ヴェネトで開催された回顧展や、2024年に台湾で開催された「Responsive Vision」を監修。また、分野横断的なアプローチによって芸術的な探求とデザイン、集合的記憶を結びつける試みを続けている。