フォスコ・マライーニ(1912-2004)はイタリアの著名な文化人類学者で、民俗学や東洋学の分野でも多くの業績を残しました。また著述家、登山家、写真家としても活躍するなど、その活動は多岐にわたりました。
昨年、マライーニの没後20年に際し、ルガーノ文化博物館で大規模な写真の回顧展が開催されました。今回の展覧会では、この回顧展から、マライーニが南イタリアで撮影した写真に焦点を当て、特に印象的な「雲」「私たちの南部」「モンレアーレのモザイク」の3つのセクションを選び、58点を展示します。
これらの作品は、マライーニ自身による造語を使うなら、「掴み取られた現在の照射(エンプレゼンテ)」であり、つまりそれは、心と魂の動きが感じ取れるように目の前の二度と戻らない一瞬を切り取ったものです。
フォスコ・マライーニ写真展「現在の照射のイメージ 南イタリア1946-1956」
会期:3月4日(火)~5月19日(月)10:30~17:30
(休室日:日曜日、4月21日(月)、4月25日(金)、5月1日(木)、5月3日(土))
会場:イタリア文化会館エキジビションホール
入場無料
お問い合せ:eventi.iictokyo@esteri.it
会期中のイベント
(1)開会式
監修者F.P.カンピオーネによるプレゼンテーション
日時:3月5日(水)19:00(開場18:30)
(日伊逐次通訳付)
お申し込み:こちらをクリックしてください
※監修者欠席に関するお知らせ
監修者フランチェスコ・パオロ・カンピオーネは、都合により開会式に出席できなくなりました。
代わりまして、モイラ・ルラスキ(ルガーノ文化博物館日本コレクションおよび横浜写真文庫担当)がプレゼンテーションを行います。
何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。
(2)ガイドツアー
日時:3月7日(金)16:00(開場15:45)
解説:モイラ・ルラスキ(ルガーノ文化博物館 日本コレクションおよび横浜写真文庫担当)
(日伊逐次通訳付)
お申し込み:こちらをクリックしてください
お申し込み可能な人数に限りがございます。あらかじめご了承ください。
主催:イタリア文化会館、ルガーノ文化博物館財団、ルガーノ文化博物館
協力:アリナーリ財団(フィレンツェ)、プリーモ・コンティ財団(フィエーゾレ)、G.P.ヴィッシュー文庫(フィレンツェ)、イタリア政府中央目録資料センター(ローマ)
監修:フランチェスコ・パオロ・カンピオーネ
コーディネーター:モイラ・ルラスキ
写真プリント:ストゥーディオ・ベルネ(レニャーノ)
技術協力:Canson
ネガフィルムのデジタル化:チェントリカ(フィレンツェ)
会場デザイン:マルタ・サンティ
輸送:インターナショナル・サービス – リヴォルノ支店
保険:クーン&ビューロー(チューリッヒ)
フォスコ・マライ―ニ Fosco Maraini(1912-2004)
イタリア人の人類学者、写真家、作家、登山家。幼少期をフィレンツェで過ごし、頻繁に各地を旅する。1937年にフィレンツェ大学理学部を卒業後、東洋研究者ジュゼッペ・トゥッチとともにチベット遠征に参加し、民族学の世界に足を踏み入れる。その後日本に移住し、アイヌ民族の芸術・文化の研究に従事。1942年には芸術の人類学をテーマとする最初期のモノグラフの一つを出版する。第二次世界大戦中には、サロ共和国への参加を拒否したため、家族とともに名古屋の強制収容所に収容される。
戦後はフィレンツェに戻り、写真とドキュメンタリー制作に専念しつつ、イタリアやアジアを再び旅行し、『チベット―そこに秘められたもの』、『随筆日本 イタリア人 の見た昭和の日本』などの重要な著作を発表した。1950年代には中東やアメリカを巡り、ルポルタージュ写真の制作を行うかたわら、映画制作会社とのドキュメンタリーや映画制作にも携わる。マライーニは、登山への情熱から、カラコルム山脈ガッシャブルムⅣの遠征隊に参加し、その経験が『ガッシャブルムⅣ』や『パロパミソ』といった著作のテーマとなった。1960年代にはオックスフォード大学で研究員として勤務。長期間アジアを旅し、後にその記録を『アジアとの出会い』にまとめる。その後再び日本に戻ると、雑誌編集者として勤務しながら、大阪万博や札幌冬季オリンピックなどの国際的な行事に広報担当などで携わる。1972年にはイタリアに帰国し、1983年までフィレンツェ大学教育学部日本語・日本文学科にて教鞭をとり、定年の年、日本研究の普及を目的としたイタリア日本研究学会(Aistugia)を創設した。
晩年は、自身の膨大なアーカイブの整理にも取り組む。このアーカイブは、現在フィレンツェのG.P.ヴィッシュー文庫に所蔵され、2001年に創設されたヴィッシュー・アジア東洋学研究所の基盤となった。2004 年6月8日、フィレンツェで逝去。民族学的研究、写真、登山から旅の哲学に至るまで、多大な文化的足跡を残した。
フランチェスコ・パオロ・カンピオーネ Francesco Paolo Campione
1964年生まれ。イタリア、コモにあるインスブリア大学で文化人類学を教えており、また、スイスのルガーノ文化博物館の館長も務めている。30年以上にわたり、芸術人類学、写真史、博物館学、文化機関の運営に携わっている。フィレンツェ出身の著名な人類学者であり写真家でもあるフォスコ・マライーニと親交が深く、『最後の異教徒たち』(1997年)を共著した。その他、マライーニの作品に関する5冊の書籍や多くの論文を執筆している。1999年以降、フランス、日本、イタリア、スイスで開催されたマライーニ写真展を数多く監修している。
本展の開催にあたり、ご協力を賜りました下記の方々に厚く御礼申し上げます。
フランチェスコ・パオロ・カンピオーネ氏、モイラ・ルラスキ氏、マルタ・サンティ氏(ルガーノ文化博物館)
ルガーノ文化博物館財団
アリナーリ財団(フィレンツェ)
プリーモ・コンティ財団(フィエーゾレ)
G.P.ヴィッシュー文庫(フィレンツェ)
イタリア政府中央目録資料センター(ローマ)
また、フォスコ・マライーニ氏のご遺族であるダーチャ氏、トーニ氏、ヨイ氏ならびにマライーニ・並木見江子氏にも心より感謝いたします。