フィレンツェ大学教授で中世美術史家のアンドレア・デ・マルキ氏による講演会「レオナルド対ヴェロッキオ」を開催します。本講演では、1470年代のフィレンツェにおけるレオナルド・ダ・ヴィンチの初期の画業にみられるいくつかの重要な変化を再検討し、師であるアンドレア・デル・ヴェロッキオとの競争的で、おそらく時には対立的でもあった協力関係について、幾つかの新たな提案を行います。講演では特に、以下の三点に焦点を当てて分析を行います。
1) ヴェロッキオ工房の特定の作品、例えばブロンズ像《聖トマスの不信》やピストイアのための《ピアッツァの聖母》などに関連付けられる亜麻布の上の衣文習作について。
2)「広場(ピアッツァ)の聖母」の風景表現の四つの部分のうち、一つがレオナルドの素描によるものであるという新説について。この素描は、赤外線リフレクトグラフィーによって、ロレンツォ・ディ・クレーディによる後年の絵画の下に確認できるもので、ヴェロッキオとレオナルドの対話における重要作品の起源についての考察につながるものです。
3) サン・サルヴィ聖堂の《キリストの洗礼》(ウフィツィ美術館)に対するレオナルドによる単なる仕上げを超えた加筆の内容に着目し、加筆時期がレオナルドのフィレンツェ時代のうち、かなり遅い時期であるという説を提示します。
講演の前には九州大学人文科学研究院准教授、伊藤拓真氏によるイントロダクションを予定しています。
(日伊通訳付)
※18時30分以降はご入館いただけませんのでご了承ください。
また館内では、キャップ付き飲料以外の飲食は禁止とさせていただきます。ご了承ください。
2025年6月13日(金)18時30分(開場18時)
イタリア文化会館 ホール
主催:イタリア文化会館、美術史学会(辻佐保子美術史学振興基金)
お申し込み:こちらをクリックしてください。
お問い合せ:eventi.iictokyo@esteri.it
入場無料
アンドレア・デ・マルキ Andrea De Marchi
フィレンツェ大学教授。ピエモンテ州出身、シエナ大学でルチアーノ・ベッローシに師事し、ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノに関する博士論文でピサ大学にて博士号を取得。その論文は、1992年に出版された画家のモノグラフの基礎となった。ピサの文化財保護局で美術史官として勤務した後、レッチェ大学で中世美術史の研究員、ウディネ大学およびフィレンツェ大学で准教授を経て、現在はフィレンツェ大学正教授。カメリーノ、ファブリアーノ、グッビオ、プラート、ペルージャ、そして2019年にはフィレンツェのストロッツィ宮で開催されたヴェロッキオ展など、様々な展覧会の企画にも携わる。13世紀から16世紀にかけてのイタリア絵画における様々なテーマを研究対象とし、特に、美術地理学、様式と機能の関係、技術文化、作品のオリジナルのコンテクストの復元、托鉢修道会の教会を中心とした空間とイメージの相互作用に焦点を当てている。
伊藤拓真 Takuma Ito
九州大学人文科学研究院准教授。ピサ高等師範学校修了(PhD)。イタリア・ルネサンス美術を専門とする。著書『ルネサンス期トスカーナのステンドグラス』(中央公論美術出版社)、『フィレンツェのルネサンス絵画』(三元社、近刊)。